「あのさ、ソースケ」
「なんだ千鳥。悪いが今、手が離せない」
「あのね、これ、お弁当なんだけど……」

 宗介の言葉など耳に入らず、彼女は弁舌を開始した。

「昨日、たまたま買い物行った店で食パンの安売りしててさ、ついつい買い込んじゃったのよ!  それでね、冷凍しておこうにも実は冷凍庫いっぱいで入らなくって。それでさ、他に材料も運良く揃ってたもんだからさ、じゃあサンドウィッチでも作ろうかなーってそう思って。それでさ、いざ作ってみたら思いのほかたくさん出来ちゃったのよ」

 宗介がなにやら難しい顔つきで、手元をいじっていることに、かなめはまったく気づいていなかった。彼女の台詞は今からが佳境なのであるから、それは当然だった。

「それで、まあ、どーせあんたのことだから味気ないもんばっかり食べてるんだろうし、どーかなって思って――」

 カチッ――