「あんたがそれを扇動してどーすんのよ!」
「問題ない、扇動をすると見せかけて、その実それを陽動となす。敵の目を欺くなど造作もないことだ」
「それ以前に妙な噂を流そうとするなー!」


 すでに話の論点はずれはじめていた。

 あの二人はいつもああいうかんじだ。
 かなめは宗介ばかりを責めるけれど、やかましいという意味では実は千鳥かなめの方がはるかに「やかましい」

 喧嘩するほど仲がいいとはよく言うけど、本当のところはどうなんだろう?
 まあ、カナちゃんに訊いても、ごまかされちゃうんだろうけど……

「まったく、素直じゃないよね、カナちゃんも相良くんも」

 お弁当をつつきながら、常盤恭子がそんなことを呟いていることを、

 かなめと宗介は知る由もない。


おわり――?