03 : 軒の下、雨降る空を見上げて笑う。
03 : 軒の下、雨降る空を見上げて笑う。


 天罰だ。
 冷えた頭で呟いた。
 雨雲は厚さを増し、ちょっとやそっとじゃ止みそうにない。
 ぐっしょりと濡れた上着を脱いで、しぼる。
 濡れネズミの今の状態では、それも単なる気休めに過ぎないだろうが。
 顎を伝う水滴を、手の甲でぬぐう。
 水分を払うように、頭を振る。
 けれど、嫌な気分は払拭できない。
 最後に見たあかねの顔は、すぐ目の前をちらついている。
 重いのは、濡れた体ではなく、気持ちだ。

 どうしようもねえや。

 口の端を引きつらせ、自嘲気味に笑った。
 低く、笑う。
 顔を上げる。
 空を仰ぐ。

 濡れてしまえばいい。
 きっとその方が楽に違いない。
 そうすれば、この罪悪感も洗い流してくれるだろう。
 この涙も、雨となって消えるから。