02 : 目の前に無数の選択肢が有っても、選べるものは、一つしかない。
02 : 目の前に無数の選択肢が有っても、選べるものは、一つしかない。


 ずらり、並べられたものを舐めるように右から睨む。
 場所、表情、どれひとつとして同じではない。
 量産されないからこそ、それは素晴らしい芸術と成り得る。

 右から五枚目に手を伸ばす。
 けれど、そのすぐ隣にも惹きつけられる。

 手を触れてしまえばおしまいだ。
 それが「選択の結果」と判断されてしまう。
 その後で、別のものを選ぶことは出来ないし。
 同じ物を手に入れる機会は、不可能に近いかもしれないのだから。

 悩む。
 悩む。
 悩む。

 ああ、どうすればよいのだろう。



「──ねえ、九能ちゃん。早く選んでくれない?」
「ああ、どの写真も捨てがたいっっ」