07 : 貴方を想って歌うこの声が、風に乗って届くだろうか。
07 : 貴方を想って歌うこの声が、風に乗って届くだろうか。

 そんなことを考えて、
 考えたあとで、少し笑った。
 バカみたい。
 だけど、そんな風に。
 まるでテレパシーみたいに言葉を伝えられたら、
 言葉に出来ない気持ちを伝えることができたなら、
 今みたいに迷ったり悩んだり悔やんだりしないもかもしれない。

 ついさっきラジオで流れた歌を口ずさむ。


 高い山を越えて、広い海を越えて、
 どこかにある無限の国にいるあなたに会いたくて
 わたしは声のかぎり歌いつづけるのでしょう
 小さな鳥になって、歌いつづけることでしょう


 あたしの心も鳥になって、あの山の向こうまで飛んでいければいいのにな。