「あれ、カナちゃん。どーしたの、それ」
「え? それって、なに?」
「だから、それだよ、それ。随分おっきな弁当」


 常盤恭子の問いかけに、千鳥かなめの足は止まった。
 彼女にしては、いささか大きめのバスケットを胸に抱えている。

 授業は滞りなく終了し、実に珍しくたった一度の爆発と、たった二発のみの発砲で済んだという、まこと「穏やかな」午前が終わった今からは、皆が待ち遠しい昼食の時間である。
 さて、お弁当だ――と、包みを持ち、親友かなめの元へと向かおうとすると、当の本人が持参しているのは見慣れない大きなお弁当。
 キョーコは素直に訊いた。

「ひょっとして、相良くん?」